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【開催報告】「不登校前後の課題の構造化ワークショップ後編」を開催いたしました。

 7月に多様な関係者をお招きして、熱いトークが交わされた「不登校前後の課題の構造化ワークショップ」の後編を、去る10月31日に開催しました。今回も令和6年度独立行政法人福祉医療機構の助成を受け、多様なステークホルダーと共に、不登校問題に関わる課題を整理し構造化するためのワークショップになります。


 今回ご参加くださった関係者は、居場所運営者や不登校経験者、保護者や自治体の担当課、関係するNPO法人代表、そして現役教師や関係省庁の方など多岐にわたりました。ご多忙な皆さまですが、この日のためにスケジュールを合わせてくださり、前回とほぼ同じメンバーで後編を行うことができました。 


 また今回は、前回「大人が多いワークショップなので議論に入りづらいかもしれない」と招くことを控えた不登校当事者の現役生(中学生)にも参加してもらいました。今回のワークショップは「当事者視点を起点に議論を進める」ということを第一テーマに据えており、子どもの声を取り入れることは不可欠だったからです。ワークショップ開始時には、資料も使ってたくさんの当事者の声をインプットしましたが、生の声を聴くことができたのは、「子ども視点」の気づきの点で非常に有効だったと思います。


 当日の流れは、まずは、前回までのまとめを踏まえながら、事務局とファシリテーターのチェンジ・エージェントの代表取締役社長兼CEO 小田理一郎氏と共につくった、不登校前後の構造化のループ図を下書きに、それを更新するワークショップを全体で行いました。


 午後にはメンバーを3グループに分けて、「本人への有効な支援は?」「保護者への有効な支援は?」「不登校にならない学校をどうつくるか?」の3つのテーマについて、それぞれどのような解決策、あるいはボトルネックの解決が出来るかを多様な立場の意見を出し合いながら、考え合いました。


 最後はまた全体に戻り、このグループで今後進めていく提言をそれぞれに発表してもらい、投票する時間をとりました。

 不登校当事者の中学生が寄せてくれた「地域全体で不登校の子どもを支えてほしい。何より、お母さんを支えてほしい。不登校に偏見を持たない地域のおじいちゃんおばあちゃんに親子で話を聞いてもらったり、勉強を見てもらえたりする場があってほしい」というアイデアには、ハッとさせられました。


 また、現役教師の方からは「教育予算が少なすぎる。教師1人で見る生徒の数が教育先進国に比べて圧倒的に多く、業務が多岐にわたって正直手が回らず、現場が疲弊してしわ寄せが子どもに行っている」という声もありました。


 奇しくもこのワークショップ終了直後に文部科学省の調査結果が発表され、不登校の子どもの数が34万6482人に増加して過去最多を更新しました。


 NPO法人多様な学びプロジェクトでは、不登校になっても子ども達が自分らしく幸せに育つことのできる社会を目指して昨年度から様々な調査を行ってきました。


 この先、どんなメッセージを社会に投げかけていくかを、現在慎重に検討しております。全ての答えは、「当事者目線」の先にあるということは確かだと考えております。

写真右上より(敬称略)、

上久保 秀樹(文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課 生徒指導室 室長補佐)

召田 誠(長野県教育委員会事務局 心の支援課 参事兼課長)

中村 尊(NPO法人フリースクール全国ネットワーク 代表理事/フリースクールクレイン・ハーバー 理事長)

本田 史子(こども家庭庁 支援局総務課 課長補佐)

松下 隼司(大阪府公立小学校教諭)

玉井 慎市郎(長野県 県民文化部 こども若者局次世代サポート課 次世代支援係長)

今 じんこ(漫画家/グラフィックデザイナー/保護者)

吉村 春美(東京大学大学院教育学研究科 教育学研究員)

高橋 香織(NPO法人多様な学びプロジェクト 事務局)


写真右下より、

生駒 知里(NPO法人多様な学びプロジェクト 代表理事)

前北 海(NPO法人多様な学びプロジェク 副代表理事)

りっくん(中学生)

小田 理一郎(有限会社チェンジ・エージェント 代表取締役社長兼CEO/大学院大学至善館特任教授

岩崎 茉緒(不登校経験者/大学生)

中村 みちよ(NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク 共同代表/一般社団法人フリースペースつなぎ 代表理事/元教員)


ご予定により途中退室された参加者

西野 博之(認定NPO法人フリースペースたまりば 理事長)


12月12日に開催するシンポジウム「不登校当事者の実態とニーズを把握し、官民共創でつくる効果的な施策とは2~先進自治体実践編~」では、こちらのワークショップの成果も報告します。

無料のオンラインイベントです。ぜひご参加ください。


文責:事務局 高橋

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