【イベント開催報告】民間・教員・保護者が立場を超えて語り合うイベント|長野県「多様な学びを考える支援者~民間・教員・保護者等~のつどい」を開催しました!

2026年8月4日(火)、長野県主催のオンラインイベント
「多様な学びを考える支援者~民間・教員・保護者等~のつどい」
を、長野県から委託を受け、当団体が運営のお手伝いをさせていただき開催しました。
学校教員・支援員、フリースクールや居場所のスタッフ、行政関係者、保護者など、さまざまな立場の方にご参加いただき、当日は146名の方にご参加いただきました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

イベント概要
不登校の子どもを支えるとき、
「どうしたら学校に戻れるか」
「どんな支援をすればよいか」
という“方法”を考える前に、まず大切なのは、子どもがどんな気持ちでいるのか、どんな背景があるのかを理解しようとすることではないでしょうか。
また、学校、民間支援者、行政、保護者など、それぞれの立場で子どもを支えていても、立場や役割の違いから、お互いの考えや取り組みが見えづらくなることがあります。
今回のイベントでは、「まず理解すること」を大切にしながら、当事者の声に耳を傾け、さらに異なる立場の人たちがそれぞれの視点を共有することで、子どもを中心としたよりよい支援や連携について考えることを目指しました。
当日は、講演・トークリレー・参加者交流会の3部構成で実施し、最後に長野県から県内の不登校支援に関する情報提供も行いました。

第1部:講演「学校に行けない子どもに、まわりの大人ができること」
第1部では、『学校に行けない僕と9人の先生』『学校に行けなかった僕と9人の友だち』などの著者で、ご自身も不登校を経験された漫画家・棚園正一さんにお話しいただきました。

学校に行けなかった当時、どのような気持ちで過ごしていたのか。
大人からかけられた言葉をどう受け止めていたのか。
そして、どのような関わりが支えになったのか。
当事者だからこそ語ることのできる具体的な経験を通して、「支援する側からは見えにくい子どもの気持ち」について考える時間となりました。
事後アンケートでは、棚園さんの講演について89.7%の方が「満足・とても満足」と回答しました。

参加者の声(一部)
不登校を経験した棚園さんの当時や現在のありのままの心境を言葉にしてお聞きすることができて、とても感激しました。学校職員として当事者の児童と小学校6年間かかわってきたが、いまだにあの時はどうするべきだったのか、本当はどうしてほしかったのか、自分のした言動をどう受け取っていたのかと考えることがあります。そんな中、棚園さんのお話をお聞きすることができ、もやもやがはれた気がしました。(学校教員・支援員)
といった感想も寄せられました。
第2部:トークリレー「子どもたちのためにできる、より良い支援と連携とは」
第2部では、信州大学教育基盤構築センター准教授・荒井英治郎さんをモデレーターに、立場の異なる皆さんにご登壇いただきました。
登壇いただいたのは、
棚園正一さん、不登校親の会元主催者・甘利由美恵さん、諏訪市立諏訪西中学校長・塚原伸也さん、信州フリースクール居場所等運営者連絡協議会代表・村上陽一さんです。

学校、保護者、フリースクール、当事者という異なる立場から、それぞれが見ている景色や、支援する中での葛藤、試行錯誤を率直に語っていただきました。
諏訪市立諏訪西中学校長の塚原伸也さんからは、校内の中間教室を「教室復帰のための場」ではなく、その子が安心して過ごせる居場所として考える学校の実践が紹介されました。
信州フリースクール居場所等運営者連絡協議会代表の村上陽一さんからは、「正しい学び方に戻す」のではなく、その子に合った学び方を一緒に探し、子どもの目が輝く瞬間を周囲の大人が見逃さないことの大切さが語られました。
保護者・親の会元主催者の甘利由美恵さんからは、良かれと思った関わりが子どもを追い詰めていた経験や、親の関わり方や距離の取り方を変えることで親子関係が変わっていった経験が共有されました。
モデレーターの荒井英治郎さんからは、「より良い支援」に唯一の答えはなく、子どもの声を受け止めることに加えて、支援する人自身をどう支えるかも重要であるという視点が示されました。
同じ「子どもを支えたい」という思いがあっても、立場によって見えている景色は異なります。
今回のトークリレーでは、「どちらが正しいか」を決めるのではなく、それぞれの立場や葛藤を知り、互いの見えているものを持ち寄ることが連携の第一歩になることを感じる時間となりました。
アンケートでは、第2部について82.1%の方が「満足・とても満足」と回答しました。

第3部:参加者交流会・長野県不登校支援情報紹介
第3部では、ランダムに分かれた小グループで、「講演・トークイベントの感想」と「これからの自分に何ができそうか」をテーマに交流しました。
学校関係者、保護者、民間支援者など、それぞれ異なる立場から感じたことや経験を共有する中で、「わかる」と共感し合ったり、自分とは違う考え方に触れたりする時間となりました。
アンケートからも、
・参加者交流会で状況の近い方とお話をすることができて良かったです(保護者)
・交流会では、『わかる』と共感しあえた場所になり良かったです(学校教員・支援員)
・3部の交流会で、新たな考え方に触れる時間がとても有意義でした(高校生)
といった声が寄せられました。
また、不登校の子どもを持つ保護者の悩みに、不登校経験のある参加者が自身の経験から言葉を返し、保護者が安心する場面もあったという回答もありました。
立場の違う人の話を聞くだけでなく、参加者同士がそれぞれの経験や思いを持ち寄ることで、新たな気づきや安心が生まれる時間となりました。
長野県から、県内の不登校支援について情報提供

参加者交流会の後には、長野県から、現在県内で進められている不登校支援や、支援者・保護者が活用できる情報について紹介がありました。
長野県次世代サポート課からは、信州型フリースクール認証制度や、県内のフリースクール・居場所等の情報を掲載しているポータルサイト「kikka☆link(きっか・リン)」などについて紹介。
長野県教育委員会からは、一人ひとりの多様な学びをどう保障するかという視点でまとめられた「はばたき」や、メタバースを活用した不登校支援、さらに、多様な学びプロジェクトが開発した「学校への依頼文フォーマット」を参考に作成された、欠席連絡や給食費、学年費、フリースクールの利用など、学校と保護者の双方の話し合いを円滑にするための「コミュニケーションシート」について紹介されました。
アンケートからは、
・「行政がどのような取り組みをしているのかを知ることができた」
・「県の取り組みや学校との対話に使えるツールを、もっと多くの人に知ってほしい」
という趣旨の声も寄せられました。
特に「コミュニケーションシート」については、
「学校現場で必要とされる内容であり、保護者との話し合いのきっかけになるだけでなく、教員側の心理的な負担を軽減することにもつながるのではないか」
という声もありました。
講演やトークリレーで不登校の子どもへの理解を深めること、交流会でそれぞれの経験や思いを共有することに加え、「実際に地域にはどのような支援や選択肢があるのか」を知ることで、参加後の具体的な関わりや支援につながる情報を持ち帰っていただく時間となりました。
※長野県からの情報提供資料はこちらよりご覧いただけます。
アンケートから見えたこと
様々な立場の方が参加しました

今回のイベントの大きな特徴のひとつが、学校・民間支援・行政・保護者など、様々な立場の方が同じ場に参加したことです。
事後アンケートの回答者68名のうち、学校教員・支援員が21名、保護者が21名、フリースクール・オルタナティブスクールのスタッフや親の会世話人が12名、教育行政関係者が10名でした。
このほかにも、福祉・医療関係者、議員、学生、不登校経験があり現在は支援職に携わっている方など、幅広い立場の方から回答が寄せられました。
不登校の子どもを支える人は、学校だけでも、家庭だけでも、民間の支援者だけでもありません。
それぞれの立場によって、子どもとの関わり方や見えている景色は異なります。
だからこそ今回、異なる立場の人たちが同じ場で当事者の声を聞き、それぞれの視点に触れながら一緒に考えられたことには、大きな意味があったと感じています。
実際にアンケートでも、参加後の変化として46.3%の方が「立場が違う方への理解が深まった」と回答しています。
イベント全体の満足度

イベント全体については、85.3%の方が「満足・とても満足」と回答。
また、82.4%の方が「他の人にもすすめたい」と高く評価してくださいました。

また、参加後の変化として最も多かったのが、
「不登校・多様な学びへの理解が深まった」71.6%
でした。
他にも
・「立場が違う方への理解が深まった」46.3%
・「既にやっていることがこれでいいと思えた」40.3%
・「悩みに対してどうしたらいいのかヒントが見つかった」34.3%
でした。

「まず子どもを理解する」という今回のイベントの大切なテーマが、多くの方に届いたことがうかがえる結果となりました。
当事者の声を聞くこと、そして学校・保護者・民間支援者など異なる立場の考えに触れること。
その両方が組み合わさることで、これまでとは少し違う角度から子どもや支援について考える機会になったのではないかと思います。
参加者の声(一部)
・不登校の当事者の棚園さんからお話が聞けてとても良かったです。学校に行っていなくても今の我が子の良いところをたくさん認めてあげたいと思いました。(保護者, 学校教員・支援員)
・色んな立場の方のお話を聞くことができて、自分が無知であるというのを知ることと、視野を広く持つことはずっと大切にしていきたいと感じました。(大学生)
・当事者の声を聞けて良かった。これからも不登校を選択肢のひとつとして示し続けるようにしたいと思った。(保護者)
最後に
不登校の子どもを支える人は、学校、家庭、行政、民間の居場所など、さまざまな場所にいます。
立場や役割は違っても、大切にしたいのは、その真ん中にいる子どもの気持ちや背景を理解しようとすること。
そして、それぞれが持っている経験や視点を持ち寄り、互いを知ることが、より良い支援や連携につながっていくのではないかと、今回のイベントを通して改めて感じました。
ご参加いただいた皆さま、登壇者・関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。
また当団体にご信頼を寄せていただき、委託くださった長野県の皆さまに、厚く御礼申し上げます。
多様な学びプロジェクトでは、こうしたイベントの企画・運営だけでなく、自治体における不登校支援体制づくりや、学校・民間支援者・保護者等が連携する仕組みづくりにも取り組んでいます。
「地域の不登校支援をもっと充実させたい」
「学校と民間の居場所との連携を進めたい」
「保護者や支援者がつながる場をつくりたい」
など、不登校支援に関するお悩みやご相談がありましたら、ぜひ多様な学びプロジェクトまでお問い合わせください。
地域の状況に合わせて、一緒に考えていければと思います。
これまでの実績(一部)
・長野県 令和7年度 不登校児童生徒の保護者を対象とした情報発信・交流及びニーズ調査事業
・鳥取県 令和7年度フリースクール伴走支援事業(こども家庭庁「地域における不登校のこどもへの切れ目ない支援事業」再委託事業)
・長野県諏訪市 令和7年度 自治体とまり木オンライン実証事業
【当団体の事業】
不登校支援に取り組もうとされている/取り組まれている企業・自治体の皆さまへ
当法人では、自治体の不登校施策に関するご相談・ご支援を承っております。不登校施策のコンサルティング、エビデンスに基づく施策の立案支援や調査、保護者向けイベントやワークショップの企画・運営、保護者オンライン支援サービスのご提供、居場所の一覧サイト作成、また不登校の子どもとそのご家庭を支える関係職への研修プログラムの実施も可能です。地域の実情やご要望に応じて、柔軟にご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
▼調査・政策提言/政策形成支援事業:
当事者の声を元に社会の構造を変える!
当事者団体の良さを活かし、エビデンスベースで政策提言を行っています。
〜2025年より自治体向け、団体向けサービスも開始!〜
子ども/保護者/支援者の皆様へ
▼とまり木オンライン:https://online.tayounamanabi.com/
「不登校からの進路、進学、どうできる?」「不登校の子どもを育てる保護者が安心できる情報がほしい」「フリースクールスタッフや教育相談スタッフの支援スキルを伸ばしたい!」そんな悩みをもたれていませんか?日々悩みを抱えながら頑張っておられる保護者や教育関係者にひらかれたオンラインコミュニティです。
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不登校、登校しぶりの子どもへの対応の仕方など、専門家のレクチャーや、不登校経験者・先輩保護者の生の声から学ぶことができます。保護者同士、支援者同士の交流会や、自主企画も人気です。今日からの安心につながります。ぜひご参加ください!
▼街のとまり木サイト:https://tomarigi.online/
『街全体を学び場に』というコンセプトで、平日の昼間でも安心して立ち寄れる地域の居場所や相談先「街のとまり木」を紹介しています。孤独感を感じやすい時間帯に、当サイトにてお住まいの地域を検索すると、安心して立ち寄れる居場所が見つかります。 教育関係者の方にも、ぜひ地域の居場所を検索していただき、子どもや保護者の孤立感を高めない情報提供を。また、支援団体の皆様には、ぜひ街のとまり木にご登録いただき(無料)、子どもや保護者にとっての「とまり木」の一つになっていただけると嬉しいです。現在全国約570の団体が登録しています。




















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